都会の真ん中で
薄汚れた河

生活廃水の中に
魚たちの群生

釣り人は
食べない魚をどうして

「何か違う」
心の中で叫ぶ声がする
湿原
夕暮れ時に風の中
白い羽毛が舞っている
それは彼らの置き土産

美しい自然が
コンクリートで固められ

渡り鳥たちの飛んだ空が
ジェット機の轟音で埋め尽くされる

彼らはどこへ追いやられたのか

干潟の空は今日もひどく寒い
早朝の星空
早朝の星空 見上げていると哀しくなる
早朝は始まりの時
早朝の星空は終わりの時

みんなに一様に朝は来るから
始まりと思える人が
たくさんいるといいな

僕にも人並みに朝は来るから
始まりと思える時が
たくさんあるといいな
公園の水仙
公園に水仙の花が咲いていた
公園の日なたに水仙の花が沢山さいていた

今度カメラを持ってきて撮ってあげるね
と心の中で約束した

次に見に行くと
水仙の花は一本残らず切られていた

心の中で誰かが叫ぶ声がした

それは僕の声だったのかもしれない
それは花の声だったのかもしれない

きっと誰かが陰で不気味に笑っている

僕は切られた花を手にとって
ただ涙した
未来
公園で園児たちが
奇声を発して走りまわる

この児らが大人になったとき
海は綺麗になっているだろうか
この児らが大人になったとき
大気は清浄になっているだろうか
この児らが大人になったとき
森は元気になっているだろうか

大人になったこの児らこそが
すべて綺麗にしてくれるのかもしれない
明日
一晩眠れば
必ず明日がやってくる
明日は今日とは別の日なのだから
きっと今日とは別の日なのだから
明日のことは明日の自分に任せて
心配するのはやめて
考えるのもやめて
明日を信じ
ゆっくりおやすみ
連鎖
町中に降りてきた
山の鹿が降りてきた
あんまりたくさん降りてきて
畑や果樹園で食事をしたので
鉄砲で撃たれた

ただお腹が空いていただけなのに
鹿に木の実を与えていた老木たちが
森林の若返りという名目で
伐採されたからなのに鉄砲で撃たれた

森林の老木たちも鹿たちも
一度失われた命は
もう戻りはしない

斧を振った人も鉄砲撃った人も
その関連を知らないことが
いちばん いちばん 哀しい
化石
海岸で拾った
化石をひとつ

何億年もの昔
これに命があった
どうしてなくしたんだろう
きっと自然になくしたのだろう


多くの命が
なくされている
不自然になくされている
一匹の犬がいて
犬がいる
一匹の足の短い犬がいる

足だけみると
なんだか惨めにみえるけど

かわいい女の子を伴って
公園を駆け回るその顔は
とっても誇り高い

「これだ」と僕は思った
ひとそれぞれ色々あるけれど
誇りを失ってはいけないと
第一印象
初めてあったとき
優しい人ねと思った
よく言われる言葉
雰囲気が上品と言われ
お茶の先生みたいと言われ

でもそれはとてもつらいことだ
僕にとっても
相手にとっても
最初から優しいと思っていて
冷たくないと思っている

だから僕の小さな「NO」に
僕を過信していた人は
ひどく傷つく
それは僕にとっても
つらいことなのだ

常に優しくいること
人を傷つけずに生きること
とても難しいことだけど
いつかそうなりたい
いつもそうありたい
back